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過多月経・頻発月経・無月経……生理の異常や不安に産婦人科医が回答【働く女性の健康相談室⑦】

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生理の量が多い、生理周期が短い/生理が止まってしまった――そんな「生理トラブル」に悩む女性は少なくありません。過多月経や頻発月経、無月経などの月経異常と、その背後に思わぬ病気が隠れている可能性、さらに鉄サプリや月経カップの使い方について、女性のヘルスケアの専門家で、よしかた産婦人科院長の善方裕美さんがわかりやすく解説します。

「過多月経」の見分け方とは? 子宮筋腫や子宮内膜症などの病気の可能性も

相談者

私は生理の量が多く、仕事中にも漏れて何度も服を汚し困っています。先日は取引先との会食中、コースのデザートが出るまで3時間もトイレに行けなかったため、レストランの白い椅子を汚してしまい、大変な思いをしました。これほど頻繁に漏れるくらい量が多いのは、何か異常があるのでしょうか。対策や治せるのかも知りたいです。

善方裕美さん

何度も失敗した経験があると、生理期間中はいつも落ち着かなくなってしまいますよね。頻繁に漏れてしまうほど経血の量が多い「過多月経」は、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気である可能性があります。昼でも夜用のナプキンが必要だったり、1時間ごとにナプキンの交換が必要だったり、レバーのような塊が出るという人は、一度婦人科で病気がないか確認してみましょう。

子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が過多月経の原因になっている場合、低用量ピルや黄体ホルモン(プロゲステロン)製剤、子宮内に装着するIUSというシステムなどで女性ホルモンの分泌量を調整し、出血量を抑えることができます。これは子宮内膜症を小さくする治療にもなります。薬で改善が見込めない場合は、手術で病巣を取り除くなどの選択肢もあります。

過多月経の人は鉄不足による貧血も心配です。貧血は想像以上に体調不良の原因になっていることが多いですし、集中力やメンタルにも影響するため、仕事のパフォーマンスが落ちている可能性もあります。婦人科では、貧血の原因となる過多月経のホルモン治療と並行して、鉄剤の投与も行います。ぜひ婦人科で治療を受け、貧血も経血漏れの心配も解消してください。

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生理用品代が月3,000円以上……過多月経の悩みと月経カップの安全性は?

相談者

生理の2日目は、多い日用のナプキンを使っても1時間もたないので、夜用ナプキンとタンポンをダブルで使っていますが、それでも職場では離席が多いと迷惑がられるし、生理用品代も毎月3,000円以上かかってしまいます(友人の3倍)。物価高でナプキンの値段も上がったし、お給料も少ないので、年間4万円近く払い続けるのは正直つらく、長く繰り返し使えるという月経カップに興味があるのですが、自分の手で挿入して使う、入れた後は半日でも入れっぱなし、何年も繰り返し使う……というのは本当に大丈夫なのでしょうか?

善方裕美さん

先の相談の方と同様、多い日用のナプキンを使っても1時間ももたないという経血量の多さは、背後に子宮筋腫や子宮内膜症などの病気があることが疑われます。月経カップを検討するより前に、まず婦人科を受診して病気がないかどうかを調べてもらうことをおすすめしたいです。

受診をして、低用量ピルや黄体ホルモン製剤などを使うホルモン治療を勧められたら、一度、試してみるといいと思います。ホルモン治療をすると出血量が減り、出血期間も短くなるので、使うナプキンの量は減ります。使う薬にもよりますが、薬代は1カ月あたり1,000円~3,000円程度(3割負担の場合)で、体調も良くなります。その上で、必要に応じて月経カップを検討してみるといいのではないでしょうか。

月経カップが自分に合うかどうかや、快適さは人によって違うので、何度か試してみると良いでしょう。生理ナプキンよりも頻繁に取り換えなくていいのが月経カップの良いところですが、気をつけたいのは、どんなに長くても12時間以内に取り換えるということです。長時間入れたままにすると、黄色ブドウ球菌による毒素が原因となる「トキシックショック症候群(TSS)」という感染症のリスクが高まります。

正しい方法で使えば、月経カップ自体は安全に使えるアイテムだと思います。ただ、体の中に挿入するものですから、清潔な手で扱い、取り出した後はしっかり消毒し、よく乾かしてから使う、長期使用で劣化が出てきたら新しいものに取り換えるなど、製品の使い方に関する注意点はしっかり守ってくださいね。

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生理が来ない期間が「3カ月」を超えたら婦人科受診を

相談者

ハードワークでストレスも多いため、生理が止まりました。ただ40歳なので、早めの閉経かもしれません。一時的なものなのか、もう永遠に来ないのか、見分け方はありますか?また、しばらく様子見をするなら、どれくらいの期間が目安でしょうか。

善方裕美さん

生理が止まってから、1年間生理が来なかったときに初めて「閉経した」ことが分かるので、早めの閉経かどうかの判別ができるのは1年後です。それより前には、閉経したかどうかを見分ける方法は残念ながらありません。

3カ月以上生理が止まっていることを「続発性無月経」といいます。3カ月間、生理がなければ婦人科を受診してみてはいかがでしょう。婦人科でも、1年たっていない場合は閉経したかどうかの断定はできませんが、ホルモン検査や卵巣のエコー検査などを行い、あなたの体の状態を総合的に判断して、必要なアドバイスをくれると思います。

40歳未満の閉経は「早発閉経」と診断され、閉経後に増える骨粗しょう症や動脈硬化などを予防するために、女性ホルモンを少し補う「ホルモン補充療法」をすることがあります。質問者さんの場合はすでに40歳ということなので、この診断名には当てはまりませんが、閉経年齢としては早い部類に入るので、今後、骨や血管などのチェックはきちんとしておくと安心です。ですから今回、生理が止まったことをきっかけに、今後の健康管理の助言を求める意味でも、婦人科を受診してみるのはいいと思います。

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生理が月に2回来る……貧血対策の「鉄サプリ」は飲み続けても大丈夫?

相談者

生理周期が短く、月に2度来ることも多いので貧血気味です。鉄鍋やフライパンを使ったり、レバーやひじきを食べたり、セルフケアを心がけていますが、市販の鉄サプリを飲み続けても大丈夫でしょうか。また万一、鉄をとりすぎていた場合、問題はありますか?

善方裕美さん

正常な生理の周期は25日〜38日とされているので、月に2度来るなど「24日以内」で繰り返される状態であれば「頻発月経」と診断されます。この場合、ホルモンバランスが崩れて排卵障害が起きている可能性もあり、貧血対策だけでなく、婦人科でのホルモン治療や体質改善、生活習慣の見直しなどをおすすめします。また、実は「生理周期が短い」のではなく、子宮頸がんや子宮筋腫などの病気が原因の不正出血である場合もあります。一度、産婦人科で病気がないかを確認してもらうといいでしょう。産婦人科では貧血治療も受けられます。

鉄の摂取量の上限は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で「なし」となりました。これは経口摂取の場合、鉄の吸収は調節されるというメカニズムがあるためです。貧血の治療では通常、1日100㎎の鉄剤が処方されます。ですから市販のサプリで食事と合わせて10~20mg程度の鉄を摂取しても、口からとっている分には、血液中の鉄が満たされれば吸収は抑制されるので、とり過ぎの心配はありません。2週間ほど続けると、体調の変化を感じる人が多いようです。ただしサプリを使っても効果を実感しにくい場合は、一度、受診をして医師の管理のもとで処方薬の鉄剤を試してみるといいかもしれません。

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善方裕美さん
よしかた産婦人科(神奈川県横浜市港北区)院長
横浜市立大学産婦人科客員准教授

高知医科大学卒業。横浜市立大学産婦人科勤務、医療法人よしかた産婦人科副院長などを経て、2020年より現職。横浜市立大学附属市民総合医療センター婦人科ヘルスケア外来を担当。専門は骨粗しょう症、更年期医療。横浜市立大学産婦人科客員准教授として若手医師の育成に従事する一方、年間約700人の赤ちゃんが生まれる、よしかた産婦人科の院長を務め、産後ケアの充実にも取り組む。3人の娘と大好きな音楽ライブに参戦することが一番の楽しみ。

(※内容は2026年3月取材時点のものです)