アンケート調査結果 Questionnaire

都内2000社と働く女性5424人が回答!「生理休暇」の現状と課題を徹底調査(2)

[令和6年度アンケート前編]

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Data 6 : 業種別では建設業が「上司に言いづらい」、医療・福祉は「人員不足」のため生理休暇が取得できない

生理休暇を取得していない理由は?という設問に対する業界ごとの回答を示した棒グラフ。業界ごとのばらつきはそれほど大きくなく、「申請するほどの症状ではない」「取得している人が少ない・いない」「上司や周りに言いづらい」が多い。9つの項目があり、それぞれに対して全体、建設業、製造業、情報通信業、卸売業, 小売業、金融, 保険業、不動産業, 物品賃貸業、医療, 福祉の8つの棒グラフがある。 9つの項目は「取得している人が少ない・いない」「仕事が多忙」「雰囲気として取得しづらい」「上司や周りに言いづらい」「人員不足で休めない」「会社の就業規則(制度)にないから取得しづらい」「申請しても認められない」「申請するほどの症状ではない」「その他」

働く女性が「生理休暇を取得していない理由」と「勤務先の主たる業種」をクロス集計すると、「建設業」では「上司や周りに言いづらい」が41.8%と「全体」(25.9%)を大きく上回りました。「医療・福祉」では「人員不足で休めない」(27.0%)が「全体」(15.5%)より多く、職場の人手不足により、働く女性の健康課題への対応が後手に回ってしまっている可能性があります。一方で「雰囲気として取得しづらい」という回答は、「全体」(23.4%)を「卸売業、小売業」(20.9%) 、「情報通信業」「医療・福祉」(ともに20.8%)がやや下回っていました。

Data 7 : 生理休暇が有給の企業の方が取得は進んでいる

過去1年間で生理休暇を取得した従業員数は?という設問に対する複数の積み上げ棒グラフ。 全体的な傾向として「いない」「把握していない・わからない」の割合が多い。全体、有給、一定日数のみ有給(雇用形態で取り扱いを分けていない)、一定日数のみ有給(雇用形態で取り扱いを分けている)、無給、特に決まっていない・わからないの6つの積み上げ棒グラフがあり、それぞれに対して1人、2人、3人、4人、5人、6人以上、いない、把握していない・わからない、無回答の回答がある。「全体」の積み上げ棒グラフでは「1人」8.7%、「2人」3.8%、「3人」1.3%、「4人」0.8%、「5人」0.6%、「6人以上」1.3%、「いない」48.4%、「把握していない・わからない」35.2%、「無回答」0.1%となっている。

自社の生理休暇が有給であるかどうかと、生理休暇を取得した従業員数をクロス集計したのがこのグラフです 。生理休暇を取得した従業員がいる割合(「1人」~「6人以上」の合計)は、生理休暇が「有給」の企業では27.2%、「一定日数のみ有給(雇用形態で取り扱いを分けている)」企業では36.6%、「一定日数のみ有給(雇用形態で取り扱いを分けていない)」では34.8%と、「無給」(15.7%)を大きく上回りました。生理休暇が無給の企業では、取得すると給与が減ってしまうため、年次有給休暇を代用しているケースもあると考えられます。また生理休暇が有給か無給か「特に決まっていない・わからない」では生理休暇を取得した従業員がいる割合が1.8%のみであることから、制度が整備されていない企業では、生理休暇の取得が進んでいないことが分かります。

Data 8 : 症状の重い女性が生理休暇を活用、症状が軽い女性の利用はごくわずか

勤務先のサポート・配慮の中で、活用しているものは?という設問に対する棒グラフ。「活用しているものはない」「費用補助制度」「テレワーク、在宅勤務など勤務形態の配慮」の回答率が高い。以下の13の項目がある。生理休暇、生理休暇以外で、女性の健康課題等を取得理由として使用できる休暇・休業制度、社内相談窓口の設置、産休・育休前後の女性社員のサポート、プレコンセプションケア(将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと)に関する支援、婦人科の受診支援(費用補助以外)、低用量ピル・漢方薬などの服用支援、費用補助制度、従業員向けセミナー・研修など、テレワーク、在宅勤務など勤務形態の配慮、セクシュアルハラスメントやマタニティハラスメントの防止、その他、活用しているものはない。それぞれに対して全体、仕事に若干の支障あり、横になって休憩したくなるほど仕事への支障をきたす、1日以上寝込み仕事ができない、不快な症状はあるが、仕事に支障があるほどではない、治療により不快な症状を軽減させている、不快な症状はない、生理がきていない、わからない・答えたくないの比率が出ている。複数回答、n=3077、勤務先にいずれかのサポート・配慮があるとした働く女性を集計

一方、働く女性の「生理痛の程度」と、「女性特有の健康課題に対する勤務先のサポート・配慮の中で、活用しているもの」をクロス集計してみると、生理痛で仕事に支障をきたしている女性の方が、生理休暇を利用している割合が「全体」(12.3%)より多いことも明らかになりました。「1日以上寝込み仕事ができない」では32.9%、「横になって休憩したくなるほど仕事への支障をきたす」では28.4%と全体を大きく上回っており、「仕事に若干の支障があり」では18.5%でした。「1日以上寝込み仕事ができない」ほど生理痛がつらくても、7割近くの女性は生理休暇を取得できていないという結果ではありますが、ある程度は、生理休暇が症状の重い女性に利用されていることが分かります。一方、企業調査のフリーコメントでは「生理休暇を整備すると、ずる休みをする女性が増えるのではないか」といった懸念が寄せられていましたが、「不快な症状はない」と回答している女性で生理休暇を取得している女性は5.4%と全体(12.3%)の半分以下であり、ごく少数であるようです。

Data 9 : 「生理休暇が法定の権利であることを知っている」企業は2年連続で8割

生理休暇の取得が法定の権利であることを知っていますか?という設問に対する2つの積み上げ棒グラフ。令和6年度は「知っている」79.4%、 「知らない」19.9%、「無回答」0.8%。令和5年度は「知っている」80.2%、「知らない」19.8%

生理休暇が労働基準法で定められた権利であることを「知っている」と回答した企業は79.4%で、1年前に実施した調査結果(80.2%)から横ばいの状況でした。しかしData 1では、自社に生理休暇があると回答した企業は61.7%にとどまっており、生理休暇が法定の権利であることは知りつつも、自社での制度整備や休暇取得には後ろ向きのケースがあることも考えられます。

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