アンケート調査結果 Questionnaire

都内2000社と働く女性5424人が回答!「生理休暇」の現状と課題を徹底調査(3)

[令和6年度アンケート前編]

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Data 10 : 「法定の権利であることを知っている」企業の方が生理休暇取得者は多い

過去1年間で生理休暇を取得した従業員数は?という設問に対する3つの積み上げ棒グラフ。 全体は「1人」8.7%、「2人」3.8%、「3人」1.3%、「4人」0.8%、「5人」0.6%、「6人以上」1.3%、「いない」48.4%、「把握していない・わからない」35.2%、「無回答」0.1%。知っているは「1人」9.6%、「2人」4.2%、「3人」1.4%、「4人」0.8%、「5人」0.6%、「6人以上」1.4%、「いない」51.0%、「把握していない・わからない」30.9%。知らないは「1人」4.3%、「2人」2.0%、「3人」1.0%、「4人」0.8%、「5人」0.3%、「6人以上」0.8%、「いない」38.2%、「把握していない・わからない」52.5%、「無回答」0.3%。n=2000、生理休暇があると回答していない企業も含めて集計(生理休暇制度を整備していない企業であっても、本来は法律で生理休暇を取得できるため、すべての企業を回答対象とした)

前問の「生理休暇が法定の権利であることを知っているか」と、Data 4「過去1年間で生理休暇を取得した従業員数」をクロス集計すると、法定の権利であることを「知っている」企業では、生理休暇を取得した従業員がいる割合(「1人」~「6人以上」の合計)が18.0%で、「知らない」企業(9.2%)の約2倍でした。まずは企業が、労働基準法の第68条に「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定められていると知ることが、生理休暇の取得しやすい環境づくりに関わっているようです。

Data 11 : 女性の役職が上がると支援制度も活用できる傾向に

勤務先のサポート制度・配慮の中で、活用しているものは?という設問に対する棒グラフ。「活用しているものはない」「費用補助制度」「テレワーク、在宅勤務など勤務形態の配慮」の割合が高い。13の項目があり、それぞれに対して「全体」「経営者・役員(兼業役員も含む)」「部長・室長・グループリーダー・マネージャーなど」「課長・チームリーダー」「係長・主査・主幹」「主任・チーフ・チームサブリーダー」「役職なし」「その他」「わからない・答えたくない」の棒グラフがある。13の項目は以下。生理休暇、生理休暇以外で、女性の健康課題等を取得理由として使用できる休暇・休業制度、社内相談窓口の設置、産休・育休前後の女性社員のサポート、プレコンセプションケア(将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと)に関する支援、婦人科の受診支援(費用補助以外)、低用量ピル・漢方薬などの服用支援、費用補助制度、従業員向けセミナー・研修など、テレワーク、在宅勤務など勤務形態の配慮、セクシュアルハラスメントやマタニティハラスメントの防止、その他、活用しているものはない

働く女性の「役職」と、「女性特有の健康課題に対する勤務先のサポート・配慮の中で、活用しているもの」をクロス集計すると、「経営者・役員(兼務役員も含む)」「部長・室長・グループリーダー・マネージャーなど」、「課長・チームリーダー」の役職者では、「生理休暇」「費用補助制度」「テレワーク、在宅勤務など勤務形態の配慮」などを利用している率が、いずれも全体より高いことが明らかになりました。逆に「役職なし」ではすべての利用率が「全体」を下回っています。役職のない女性は職場の中で立場が弱く、健康課題を抱えていても言い出せなかったり、我慢せざるを得なかったりする状況があるようです。

Data 12 : 生理の症状が重い女性はキャリアアップを諦めていることも

女性特有の健康課題により、キャリアアップや仕事を引き受けることなどを諦めた経験はありますか?という設問に対する積み上げ棒グラフ。9つのグラフがあり、全体的に「ない」のほうが多い。全体は「ある」13.3%、「ない」86.7%、仕事に若干の支障ありは「ある」19.6%、「ない」80.4%、横になって休暇したくなるほど仕事への支障をきたすは「ある」31.4%、「ない」68.6%、1日以上寝込み仕事ができないは「ある」44.9%、「ない」55.1%、不快な症状はあるが、仕事に支障があるほどではないは「ある」10.2%、「ない」89.8%、治療により不快な症状を軽減させているは「ある」24.8%、「ない」75.2%、不快な症状はないは「ある」4.7%、「ない」95.3%、生理がきていないは「ある」9.6%、「ない」90.4%、わからない・答えたくないは「ある」5.2%、「ない」94.8% 。n=5424

働く女性の「生理痛の程度」と「女性特有の健康課題によりキャリアアップや仕事を引き受けることなどを諦めた経験」をクロスすると、「1日以上寝込み仕事ができない」人は、諦めた経験が「ある」との回答が44.9%にも達し、「全体」(13.3%)の3倍以上の割合となっています。前問で役職が高い女性の方が制度を活用できている傾向について紹介しましたが、立場が上がる前に、生理のつらい症状によってキャリアアップを諦めてしまう女性も一定数いるようです。

Data 13 : 生理休暇の取得と低用量ピルの服用は微増傾向

生理による不快な症状に困ったときの対応は?という設問に対する棒グラフ。「鎮痛剤を飲む」は令和6年度71.1%、令和5年度77.9%。「生理休暇を取得する」は令和6年度8.9%、令和5年度5.2%。「生理休暇以外の休暇(年次有給休暇など)を取得する」は令和6年度15.2%、令和5年度16.9%。「低用量ピルを服用する」は令和6年度10.7%、令和5年度8.9%。「その他」は令和6年度2.6%、令和5年度5.7%。「特に何もしていない」は令和6年度16.8%、令和5年度15.2%。令和6年度はn=2927、令和5年度はn=3012。複数回答。生理による不快な症状で「仕事に若干の支障あり」「横になって休暇したくなるほど仕事への支障をきたす」「1日以上寝込み仕事ができない」「不快な症状はあるが、仕事に支障があるほどではない」「治療により不快な症状を軽減させている」と回答した女性を集計

生理による不快な症状で困った時に「生理休暇を取得する」と回答した女性は、令和5年度の調査では5.2%でしたが、令和6年度は8.9%と若干増加しました。「鎮痛剤を飲む」は77.9%から71.1%に減少し、一方「低用量ピルを服用する」は8.9%から10.7%に微増しました。このグラフにはありませんが、令和6年度の結果を年齢別に集計すると「低用量ピルを服用する」女性が20代では2割に達しています。症状がつらい時に我慢し続けるのではなく、休暇を取得したり、前向きに低用量ピルで治療したりする女性が増えつつあるようです。